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アメリカ合衆国ドル(-がっしゅうこく-、英語: United States Dollar)は、アメリカ合衆国の公式の通貨である。通称としてUSドル、米ドル、アメリカ・ドルなどが使われる。アメリカ以外のいくつかの国や地域で公式の通貨として採用されているほか、その信頼性から、国際決済通貨や基軸通貨として世界で最も多く利用されている通貨である。
通貨単位の呼称としての「ドル」は、カナダ・ドル、香港・ドル、オーストラリア・ドル、ニュージーランド・ドルなどようにいくつかの国や地域で用いられている呼称であるが、単に「ドル」と言った場合、このアメリカ合衆国ドルを指すことが多い。
アメリカ合衆国ドルは、その信頼性からしばしばアメリカ合衆国の国外でも使われ、特に輸出入など国際的な商取引の決済に多く使用されている。欧州連合(EU)のユーロと並ぶ国際通貨キー・カレンシーである。
アメリカ合衆国ドルの記号は、ドル記号 ($)である。ISO 4217では、アメリカ合衆国ドルのコードはUSDである。1ドルは、100セントである。
現在は、中央銀行である連邦準備制度がアメリカ合衆国ドルの発行を管理している。製造は製版印刷局と合衆国造幣局によって行われ、1日あたり6億5000万ドル相当の紙幣と硬貨が製造されている。従業員数は合計で5000人を超える。
紙幣
1928年に現在のサイズ(Small Size Notes)になった。United States Note(レッドシール)、Silver Certificates(兌換銀券-ブルーシール)、Gold Certificates(兌換金券-イエローシール)、National currency(ブラウンシール)、Federal Reserve Note(グリーンシール)の各紙幣が発行されたが、現在発行されている紙幣は、連邦準備券(Federal Reserve Note)のみであり、以下の7種類が発行されている。
1ドル
2ドル
5ドル
10ドル
20ドル
50ドル
100ドル
このうち、一般に流通しているのは1ドル、5ドル、10ドル、20ドルの紙幣である。他に観光用のおみやげとして、1ドル紙幣32枚の未裁断シートなども製造されている(切り分けて使用することもできる。販売価格は約44ドル)。
1996年に大型肖像タイプのデザインに変更後も、偽札が大量に出まわっているため、2003年秋から新たな偽造防止対策を施した新シリーズの紙幣が登場し、シリーズ2004として、10、20、50ドル紙幣が発行され、更にシリーズ2006として5ドル紙幣も、2008年3月13日に発行された。100ドルも新紙幣に切り替えが決定しているが、発行、流通の時期はまだ決まっていない。これらの紙幣では初めて紙幣の背景に色刷りのデザインが採用された他、透かしやユーリオン模様の採用などで、従来の物とは随分雰囲気が変わった。なお、1、2ドル紙幣は変更される予定はない。
右に挙げた紙幣の写真は、5、10、20、50ドルがシリーズ2004および2006の新紙幣である。
この他のデザインで特徴的なのは、1ドル紙幣の裏には、ドルの象徴であるプロビデンスの目が描かれていることがあげられる。
アジアの各国、特にインドネシアでは、シリーズ1996以降の大型肖像タイプの物だけが両替可能となっており、これ以前の小型肖像の旧タイプ紙幣は完全に使用不可能となっているようだ。大型肖像タイプの紙幣もシリーズ2001は偽札が多量に存在するので、受け取りを拒否されることが多く注意が必要である。
なお、かつては500、1,000、5,000、10,000ドル紙幣が流通し、主に銀行間の決済などに使われていたが、1945年(シリーズ1934B)を最後にこれらの高額紙幣の製造は中止され、電子的な決済システムの出現で必要性がなくなったため、1969年に流通停止となった。
また、2ドル紙幣は、最近では独立200年記念として発行されたが、流通はしているものの、その量は他と比べて極端に少なく、アメリカ国内でも実物を見ることは滅多にない。「2ドル札のように疑わしい(Doubtful as Double)」という言回しも存在するほどである。昔から縁起が悪いといって紙幣の周囲の余白を切り取った2ドル紙幣が多く見られた。
この他、50ドル、100ドル紙幣も、アメリカ国内での代金支払手段のほとんどがクレジットカードを用いるか小切手を振り出すため、高額紙幣の必要性が薄く、実際の流通量は少ない。そのためか、特に中小の商店で50ドル、100ドル紙幣で支払うと嫌がられることがあるといわれる(店によっては偽造紙幣を見破る特殊なインクが入っている専用フェルトペン「カウンター・ディテクトペン」でチェックされる事もある。偽札参照)。実際にアメリカ国内のレストランなどでも「We don't accept $100(100ドル札はお断り)」と書かれていることがある。
俗称
米口語ではドルの代りにバック(buck)が使われることも多い。「5 dollars」と言わずに「5 bucks」と言うなど。ちなみに"buck"とは、昔インディアン(ネイティブ・アメリカン)が白人と取引する際に貨幣の代わりに鹿の皮(buck)を使ったことに由来する。またドル紙幣のことを裏の色が緑のことからグリーンバックス(greenbacks)というが、このバックスは「裏」のこと(back)であり、日本語訳では「緑背紙幣」と呼んでいる。現在の米ドル紙幣も、このかつての緑背紙幣の慣わしから、伝統的に裏は緑色で印刷されているので、このように呼ばれている。
紙幣を作った場所
肖像の小さい旧シリーズの紙幣には、肖像の左にアルファベットの記載された丸い部分があり、紙幣を作った印刷所の所在地がこの文字で判るようになっている。
Federalreserve Bank of...
A:マサチューセッツ州 ボストン
B:ニューヨーク州 ニューヨーク
C:ペンシルヴァニア州 フィラデルフィア
D:オハイオ州 クリーブランド
E:バージニア州 リッチモンド
F:ジョージア州 アトランタ
G:イリノイ州 シカゴ
H:ミズーリ州 セントルイス
I:ミネソタ州 ミネアポリス
J:ミズーリ州 カンザスシティ
K:テキサス州 ダラス
L:カリフォルニア州 サンフランシスコ
肖像が大きくなった新シリーズ(シリーズ1996)では、左端のアルファベット(B2)などがこれに相当する。またお札の記号番号の二桁目のアルファベットも同じ事を表している。
硬貨
硬貨として発行されるのは1ドル以下(セント)の通貨であり、アメリカ合衆国造幣局が製造している。
現在発行されている硬貨の金種は、
1セント(Penny、ペニー)
5セント(Nickel、ニッケル)
10セント(Dime、ダイム)
25セント(Quarter、クオーター)
50セント(Half Dollar、ハーフダラー)
100セント(=$1、シルバーダラー)
の6種類である。なお、シルバーダラーというのは1ドル銀貨の呼称で、現在の1ドル硬貨の呼称ではない。
セント硬貨については、主に25セント以下のものが多く使われており、特に公衆電話や新聞などの自動販売機、パーキングメーター、バスの運賃箱、カジノ場のスロットマシン、有料道路や駐車場の無人料金所などに25セント硬貨を複数枚投入するものが多いためか、とりわけ硬貨の中でも25セント硬貨の流通量が非常に多い。そのため、アメリカを旅行する際は、25セント硬貨の手持ちが少ないと不便を強いられる場合が多い。
日本の硬貨の系列と異なり、10セントの上が25セントなのは中途半端に感じるかもしれないが、10セントと25セントを組み合わせる方が10セントと50セントの組み合わせよりも多くの金額に対応可能であり、慣れれば意外と便利なものである。
かつてはハーフセント、2セント、3セント、20セントのコインが存在した。ダイム(ハーフダイム)以上は元々銀貨であった。現在は白銅張りの銅貨に変わっているが大きさは変更されておらず、このため、5セント(ニッケル)硬貨の方が10セント(ダイム)硬貨より大きくなっている。造幣局はフィラデルフィア、デンバー、サンフランシスコにあり、硬貨表面または裏面に製造所を表すP、D、Sの鋳造刻印(ミントマーク)が打たれている物が多い。
さらに、以前ではこのほかに本位金貨として、1ドル、2.5ドル(クウォーターイーグル)、3ドル、5ドル(ハーフイーグル)、10ドル(イーグル)、20ドル(ダブルイーグル)の硬貨が流通していたほか、記念貨幣として8角形の50ドル金貨や、4ドル(試作-ステラ)等も鋳造された。また、モルガン図案やピース図案の1ドル銀貨(シルバーダラー)もマニアの間で世界的に広く知られている。現在でも、記念コインとして、5ドル金貨や1ドル銀貨が鋳造されることがあるが、これは収集型金貨や銀貨で流通用の物ではない。
通貨の一覧
アメリカ合衆国ドル通貨の一覧を示す。
アメリカ合衆国ドル硬貨の一覧 種類 (¢) 肖像 裏のデザイン 愛称
1 エイブラハム・リンカーン リンカーン・メモリアル ペニー
5 トーマス・ジェファーソン モンティチェロ[1] ニッケル
10 フランクリン・ルーズベルト たいまつ、オークの枝、オリーブの枝 ダイム
25 ジョージ・ワシントン 鷲[2] クウォータ
50 ジョン・F・ケネディ アメリカ大統領の紋章 ハーフダラー
100 サカガウィア[3] 飛んでいる鷲 ダラーコイン
アメリカ合衆国ドル紙幣の一覧 種類 ($) 肖像 裏のデザイン
1 ジョージ・ワシントン アメリカ合衆国の国章
2 トーマス・ジェファーソン 独立宣言署名の図
5 エイブラハム・リンカーン リンカーン・メモリアル
10 アレキサンダー・ハミルトン 財務省建物
20 アンドリュー・ジャクソン ホワイトハウス
50 ユリシーズ・S・グラント 連邦議会議事堂
100 ベンジャミン・フランクリン 独立記念館
500[4] ウィリアム・マッキンリー 装飾した500
1,000[4] グロバー・クリーブランド 装飾した1,000
5,000[4] ジェームズ・マディスン ワシントン辞任の図[5]
10,000[4] サーモン・P・チェース 装飾した10,000
100,000[6] ウッドロウ・ウィルソン 装飾した100,000
有事のドル買い
為替相場では「有事のドル買い」と呼ばれ、有事(戦争・紛争など)が起こった場合、基軸通貨である米国ドルを買っておけば安心であるという経験則がある。ただし、アメリカが攻撃を受けた2001年のアメリカ同時多発テロ事件では、米国ドルは下落した。また、それ以降は有事はアメリカの対テロ戦争に繋がっていることが多いため、逆に「有事のドル売り」(円・ユーロの高騰)となることがしばしばある。
アメリカ合衆国以外の地域・国
USドルを公に通貨として利用するアメリカ合衆国(アメリカ合衆国の州)以外の地域・国
グアム、北マリアナ諸島、プエルトリコなどの州に属さないアメリカの領土
アメリカとの自由連合盟約国:ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、パラオ
上記以外の国・地域
エクアドル:2000年、スクレからUSドルに切り替えた。
エルサルバドル:2001年1月より、1USドル=8.75サルバドール・コロンに固定され、USドルも合法的に流通している。
パナマ:常に1USドル=1バルボアに固定され、バルボアは基本的に米国通貨と共に流通している。1バルボアは100セント。 1,5,10,25,50セント硬貨はそれぞれ米国通貨を使用している。
東ティモール:独自の補助貨幣である、東チモール・センターボ硬貨も発行されている。
バージン諸島(イギリス領)
タークス・カイコス諸島(イギリス領)
イギリス領インド洋地域(イギリス領):UKポンドとあわせてUSドルも合法的に流通している。
在日米軍施設内(日本領):他に旅行者向けに「ドル支払い受け付けます」としている店舗も存在する(ヨドバシカメラなど)。
過去に使用された国・地域
アメリカ合衆国による統治下にあった沖縄など、かつてアメリカの統治下にあった国・地域